2023年3月3日
キプリスのナチュラルコードバンの財布を使い始めて2年後のエイジングレポートです。
ナチュラルコードバンのエイジングが気になる方に見てもらいたいです。
目次
外側のエイジング
半年ほどバッグ、1年半ほどケツポケで使いました。
光の加減で写りが少々違います。同じ環境で撮るのって難しい・・・
2年後の写真は事前にクリーナーと長谷川屋のコードバンワックスでの保革、かっさ棒でのケアをしているので、汚れも少なく発色が良くなっています。
折れる部分の上下(写真1枚目の右上、右下)は擦れやすいのもあって、他の部分より色が濃くなってます。
ただ、半年前はこの擦れる部分がかさつきやすかったんですが、最近はあまり気になりません。
以前より繊維が寝やすくなって、使用による毛羽立ちが減ってきたんだと思います。
艶感は少し強くなってきました。
というより、発色が良くなったかな。
半年前は色ムラが大きい時期でしたが、全体的に色濃くなってきたことで経年変化が馴染んできたような感じです。
使用感、くたびれ具合は全く変化なし。
コードバンは強い革なので、半年やそこらでは変わりませんね。
折れ目の部分は全く皺がありません。
折財布だと普通はここに皺がくっきり入ってしまうんですが、コードバンの構造上全く入らないです。
皺からひび割れが始まる可能性もあるので、その心配が無いのはありがたい。
ここがコードバンを使っていて一番良かった部分です。
ナチュラルコードバンはコードバンのヌメ革みたいなものですが、普通の牛ヌメとはやっぱり違います。
艶の出方、質感が全然違います。
色が濃くなるペースは牛ヌメとあまり変わらないと思います。
内側のエイジング
内側も徐々に変化しています。
小銭入れの蓋の下やカード入れ部分と比較すると違いが分かりやすいですね。
色が濃くなったというより、色ムラが馴染んできたという印象です。
ナチュラル色の革は変化が醍醐味ですが、馴染むまでに汚く見える期間があります。
半年前は見方によっては汚く見える状態でしたが、現在は綺麗になってきました。
あと1年後くらいには綺麗なあめ色になってるかな。
小銭入れや札入れの内部は汚れが増してきました。
この部分に関しては汚れていくばかりですね。
定期的にアルコールシートで軽く拭いてますが、見た目は特に気にしていません。
小銭入れの中は摩擦で艶が出てました笑
長谷革屋のコードバンワックスでお手入れ
僕は日常のお手入れでは気が向いたとき(週2回くらい)にブラッシングorムートンをかけるくらいです。
あまり過剰に手入れをしすぎても革に良くないですからね。
クリーナーやワックスを使った手入れは3か月~半年に一度行います。
3か月と半年って倍も違うやん!って話なんですけど、使用頻度や湿度によって革の油分が変わってくるので、
状態を見ながら判断しています。
①馬毛ブラシで埃などをはらう
外側、内側をまんべんなくブラシをかけていきます。
目的はゴミを落とすことなので、仕上げのブラシとは違い、埃をはらうようにブラッシングしていきます。
小銭入れのマチ部分など、隙間や折り目の内側はゴミが溜まりやすいので、広げた状態でブラシをかけます。
この時、無理に広げたり狭いところにブラシを強引に入れると、型崩れの要因になるので注意します。
②アルコールシートで除菌
必須ではありませんが、僕はブラシの後にアルコールで除菌します。
小銭入れや札入れの内部をしっかりこすり、他の部分はシミにならないように軽くふき取ります。
これは気持ち的な問題でやっていて、革に優しいとは言えないので、やる場合は注意してください。
③クリーナーで汚れ落とし
クリーナーで汚れを落としていきます。
普段の使用で皮脂汚れが付着しているので、ワックスを塗る前に落としてあげます。
ブラッシングと同様、クリーナーを布に出して、全体的に満遍なくかけていきます。塗るというより擦って汚れをはがしていくように。
僕は財布にはブートブラックのレザーローションを使っています。
革に優しく汚れを落とせて、保湿もできるので革小物の汚れ落としは基本これでやってます。
汚れ落としとしての効果は強くはないので、汚れがひどい時や革靴にはステインリムーバーを使っています。
④コードバンワックス
今回は長谷革屋の『プロ仕様コードバンワックス』を使います。
浸透性が高く、コードバンに最適な成分で作られているらしく、繊維の密度が高いコードバンにもしっかり栄養が染み込むオイルです。
匂いは少し獣臭いですが、1日置けば全く気になりません。
硬めの質感で体温で溶け始めます。
コードバンでなくてもタンニン鞣しの革であれば使えるので、ブライドルレザーの手入れにもたまに使っています。
一度に取る量は布に色が移ったかなくらいの量です。
あまり多く塗りすぎると油分が浮いてべたついたり、埃がつきやすくなるので少しずつ塗っていきます。
コードバンの部分に広げながら塗っていきます。
ここでは強くこするのではなく、布に着けたワックスを少しずつ革に乗せて広げていくように塗っていきます。
乾燥している部分は他の部分より少しだけ多めにワックスを乗せます。
⑤1日置いて仕上げ
ワックスが革の内部に浸透するまで時間がかかるので、1日風通しがよく日光が当たらない場所に置いておきます。
すぐに空拭きしても表面のツヤは出るんですが、せっかくの栄養を吸収できていないので、最低でも6時間~12時間程度は置いておいた方がいいです。
この時、財布を寝かせて置いておくと塗ったワックスが接触している部分に移ってしまうので、立てたりハンガーでぶら下げたりするなど、工夫すると安心です。
とにかくワックスがついた部分は空気に触れる状態にしましょう。
1日待ったら空拭きしていきます。
空拭きの目的は余分なワックスの拭きとりと、こすることによる艶出しなので、少し圧を加えながらこするようにふき取っていきます。
ワックスは体温に近い温度で溶けるので、摩擦熱で「少し熱いな」と感じるくらいの力とスピードでこすると、ふき取りやすいし艶も出しやすいです。
これを二つ折り財布の場合、一面30秒ずつを2回やって完了です。
(二つ落ちり財布なら、外側表面⇒外側裏面⇒内側小銭入れ面⇒内側カード入れ面⇒繰り返し)
まだべたつきを感じるようであれば、サラッとした手触りになるまで続けます。
これで艶が出て発色も良い状態になります。
持っていれば最後にムートンをかけると、より光沢が持続します。
長谷革屋のコードバンワックスは買いか?
長谷革屋のコードバンワックスをおすすめできる人
個人的には購入して良かったメンテンナンス道具の一つです。
メリットは
・艶が出しやすく、持続する
・革に栄養が浸透する
・コードバンに適した成分
艶が出やすいクリーム、ワックスはたくさんありますが、長谷革屋のコードバンワックスは艶が長く続く気がします。
クリームは浸透しやすくても抜けやすいものが多いし、ワックスは艶が出ても浸透しにくいものが多いので、
両方のいいとこ取りをしているワックスだと思います。
革の発色も明らかに良くなりますし、何より「コードバン用」のワックスなので、安心感と所有欲が満たされます。
2750円と少し高額ですが、一度に使用する量も少なくて済むので、コスパも悪くありません。
長谷革屋のコードバンワックスをおすすめできない人
ぜひ試してほしいワックスですが、おすすめできない人もいて、
・匂いに敏感な人
・コードバン製品を持っていない、少ない人
はあえて買う必要はないのかなと思います。
ワックス自体が獣臭く、手入れ中は部屋に匂いが充満します。
匂いは人それぞれの感覚なので、あくまで僕はですが、ワックスを使った革製品から強烈な匂いを感じたことはありません。
1日経てば全く気になりませんが、手入れ直後はそれなりに獣臭さが残ります。
なので、匂いに敏感な人だと、もしかしたら不快感が強くて使わなくなるかもしれません。
あとはコードバンのアイテムをたくさん持っていたり、今後増やす予定の方は持っておくといいと思いますが、
いろんな種類の革を使っている方は『コードバン用』よりもシュプリームクリームなどの『万能』を売りにしているクリームの方がいいと思います。
艶出しならクレム1925の無色もおすすめなので、「自分の用途に合っているか」確認したうえで購入を検討すると後悔せずに済むと思います。